患者の気持ち

2003年11月13日

やっとカツへの手紙が書ける。もう12時すぎとるよ。
とにかくやらんとあかん事が多すぎるねん。
でめな、カツはまだ「サリーが足らん!」と思ってる。
知っとるよ!カツの気持ちは痛いほどよくわかる。
サリーも同じ気持ちやからね。

今まで、いつも、どんなときも「今日はああだった、こうだった」と話するのが日課やったからね。
誰にもジャマされないふたりの時間。夫婦の時間。
サリーもカツも、その時間が一番好きやった。
一番ほっとする、家族らしい時間。

それが今はひっきりなしに人が来る。
今日はお父さん、お母さん。
カツだってふたりが本当に心配して会いたくて仕方無い事、よくわかってる。
でも、私がふたりと話してると、ちょっと淋しげ。
そうやねぇー。耳が聞こえにくいしねー。
自分だけ、「カヤの外」やったら嫌やんねー。

それにしてもカツはすごいね。
毎日毎日、本当に見る見る良くなっている。
サリーは毎日、カツが良くなってるのを見るのだけが楽しみやねん。

あと、カツの話もおもしろかったよ。
死神の話とか。
真っ黒い顔のちっちゃい看護婦みたいなのが、ゾロゾロやってきたけど、あっち行け!って
言ったとか。

それからカツの頭の中にずっと流れてる、
ハモンドの曲の話とか。
いつか、その曲、ちゃんと聞かせてね。

毎日毎日、カツの事ばっかり考えてるよ。
まだまだ足りないって思うかもしれないけど、サリーが出来ることのほとんど全部の時間をカツのために使っとる。
今は、カツの事しか考えられないねん。

今日は点滴がなくなったね。
それから、のどの先生にカメラでチェックしてもらって、多分、自分で食べられるようになるでしょう、とも言われた。
よかったー。
すごい、心配してたんやで、サリー。もしかしたら、一生このまま自分でごはん食べられないかもしれないって言われてたから。

医者はいつも「最悪の場合は」って話をする。
もちろん、それは、覚悟としては必要なこと。
最初にカツが運ばれたときは、
「一生、寝たきりになることもありますからね。」といわれたんや。
でめな、待つ身は辛いねん。
サリーはただ、カツが元気になることだけを考えて、ただ、そばにいるだけやねん。
何にもしてあげる事できないねん。

カツが言うみたいに、注射1本で直るなら、どんなに高いものでも何とかしようって思うけどね。
こればっかりはそうはいかん。

金持ちも貧乏人も、みんな同じ平等やねん。
命はお金ではかえないからね。

病気の人間には、目の前に希望が必要やと思う。
ただでさえ、心の中では、ああなるかも、こうなるかもって悪いことばかりを考える。近くにいる家族もそう。
いつでも泣き出しそうなのをがまんしてる。
サリーなんか、毎日病院に行くときや、帰るとき、歩きながら、知らない間に泣いてるもん。

そんなとき、せめて、可能性は低いけど、ゼロじゃないからがんばろうね、って言ってくれる人が病院の中には必要なんじゃないかなって思う。
医者だって、看護婦だって、人間やから、人のことより自分が大事。
そんなことは100ほど知っとる。

でも、誰かに話したい。聞いてほしい。泣かせてほしい。
カツの前では今は泣けないからね。



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