音が聞こえた!

2003年11月29日

思っていた以上に、良い病院でよかったね。
とにかくピリピリしていない。看護婦さんのやり方がていねいでマトを得てる。
カツを動かすことひとつにしても、多勢で、「せーの、よいしょ!」
ってのじゃなくて。カツもちょっと安心してる感じ。
おしっこの管(バルーン・カテーテル)のことにしても、そう。
ちゃんと調べてくれてるってわかるし、鼻の管も、細いのにしましょうってやってくれてるし。

むこうが、けんか腰じゃないから、こっちもリラックスできる。
なるべく自分の事は自分でやる。
そう思っているカツにはピッタリの所。病院の方も、そう思ってるにちがいない。

新しい主治医の先生、なかなか、良い感じやんか。
いかにもやり手ってタイプで。
カツが今日「最初の診察の後、何にもできないじゃないかって思ってたにちがいない」って言ったとおり、
確かに先生は、カツは全部ダメって思ったって、サリーもそう感じた。
どうか、先生、カツを見捨てないて下さいって。

でもサリーはこうも感じたよ。
いかにも「やり手」のあの先生は、きっとカツを治すことに意欲を感じるはずって。
だって、カツはやる気満々やもん。それに本当に一生懸命。
きっとあの先生にとっても、治しがいのある患者にちがいないねん。

そう思ってもらえるように、がんばろうな。

カツは今日もがんばったね。
まわりの人たちはみんな、カツより「健康」
カツはそれがうらやましくて、悔しくて、しかたがない。

だからサリー、言うたやろ。
「前の病院の時の、カツと同じ部屋の人たち、たとえば、向いのベッドの女の人のご主人とかは、
ずっと今のカツと同じ気持ちやってんで。あーあ、いいなあ、カツさんは話せてって。」

字が見えてるかどうかもわからない。
見えていて、わかっていてもそれを伝える方法がないあのふたりにとって、カツは憧れやってん。
今のカツが、同じ部屋の人たちに対して、自由に車イスで移動できていいなあって思ってる気持ちと
全く同じやってん。

そういうと、カツは何だか神妙な顔しとったね。
それから、すぐ車イスで動く練習はじめたんや。
(この病院に転院して、初めて普通の車イスに座る事が出来た。)
そうやで、カツ。悔しいと思ったら、がんばるしかないねん。

片手で病院のろうかの手すりつかんで、力の入らない腕で、何センチかずつ、進む。
そんな、カメの歩みよりも、グズなペースでも、カツは自分の力で5階を一周したやんか。
サリーはほんまにうれしい。カツのがんばりがうれしい。

それに、今日は音も聴こえたね。
談話スペースにあったテレビのドラマ「ショムニ」の声。
セリフがちゃんとわかったね。

それから、エレピもひいたね。(なぜか、この病院にはエレピがあった。)
カツは「咲いた咲いた」をひいた。
サリーはIn my lifeをひきながら、うたったね。

「聞こえる、聞こえる、わかるよ!」って何度も言った。
サリー、うれしくて涙が出たよ。

やっとカツに音が、もどった。
耳鳴りに悩まされながらも、弾いた「咲いた咲いた」は名演奏やったで!!

カツ、自分のCDも聞こえたね。俺の声、俺のギターって言った。
Just a little bit、全くその通りの詞やんか。
「ちょっとだけ、ちょっとだけ、俺に歩み寄ってくれないか」
それはな、きっと昔のカツから、今のカツへの応援のセリフやねん。
ちょっとだけ、ちょっとだけ。
サリーはあの歌をどんな気持ちでカツが作ったのかは知らん。
でも、精神的にまいってて、どん底やったサリーの心に生きる勇気をくれた歌やねん。
力強くて、まっすぐで、「前見て歩けー!!」みたいな感じ。すごく良い歌。
サリーは大好き。

「本当の自由、手に入れる為に、すべて捨てよう」だっけ?
カツには歌うのが気恥ずかしかったこの詞も、きっと今は
「早く良くなれ、早く昔の俺にまでもどれ」って生命あふれるヴォーカルが、聞こえてるって思うよ。

あんなカツ。
カツは死ぬほど、音楽が好きやったやろ。
歌う事、演奏する事、今だって、うんと好きやねん。
それは、多分これから先、一生、かわらんと思う。
カツにその「好き」っていう気持ちがある限り、音楽はきっとカツを裏切らないと思う。
サリーも音楽、好きやからね。すごく良くわかるよ。
今日の連弾、楽しかったよ。
明日もまた、やろうね。




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