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2004年1月7日

皆様

いつも本当にお世話になっています。

入院当時は、車イスに座っていることさえ不安定だった主人が自らの力で立ち上がり、介助つきとはいえ、何とか移乗が可能になるまでに回復してまいりましたのも、ひとえに皆様のご尽力の賜物と、心より御礼申し上げます。

しかしながら依然、主人の障害が非情に重度である事はまぎれもない事実です。他の人の力を借りなければ、何ひとつ満足にできません。
そんな状態に落胆し、自分は本当に生きている価値があるのかと、毎日呪文の様に私に問いかけます。

主人にとっては、自分がどこまで回復するのか、回復する自分を期待してよいのか、という事は、最大の関心事です。
それはまた私も同様で、失われた機能のすべてとまではいかないとしても、発症からの日数が浅いうちに出来る限り依然の姿に近づけたいと考えています。

それは、ご経験豊富な皆様の目から見れば、あまりにもバカげた夢物語かもしれません。
また無謀な賭けとうつるかもしれません。

それでも私は、どうかお願いしますと、言い続けるしかありません。どうか主人の若い回復力を信じてやってくださいとお願いし続けるしかありません。


主人には主人なりに、自分のリハビリに対して、思うところがあります。

その希望が100%かなえられるのが難しい事も充分理解しています。
それでも、できる限り、主人の本意が皆様方に伝わればと思いこういうノートを作る事にしました。
日ごろ、本人が考えている事、私達が話し合っている事など、それぞれお世話になっている範疇とは直接関わりのない話題に及ぶことも多いかもしれませんが、皆様方に同じ内容のものを読んで頂く事で、少しでも私達の真意がお伝えできれば、と思っております。

数日おきに、その時々の心境などを私がこのノートに書き、翌朝、コピーした物をお渡しします。
そのたびにお返事いただく必要はありません。
お手すきの際にどうかお声をかけて下さい。
また、本人に知らせにくい、悪い状況のお話は、私にメモを渡していただければありがたいです。
お忙しい皆様に、さらにお手数をおかけする事になるとは思いますが、何卒よろしくお願い申し上げます。


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