最後の手紙


2004年3月10日

カツの退院が決まった。

自宅の改装工事の手直しの為に、当初の予定より少々長引いたけど、
それも何とか終了し、レンタルで新しいベッドも置き、
いよいよカツが家に帰れる準備が整った。

私達は、カツに関わって下さったずべての先生、すべての看護婦さん
ひとりひとりに手紙を書いた。

まず、カツが私に、ひとりひとりにあてたメッセージを言い
それを私がレポート用紙に下書きをし、
カツの音楽仲間の後輩に頼んで写真のポストカードを買って来てもらい
カードにひと言メッセージを添えた。

そのメッセージの中には、私の知らない
「カツと看護婦さん達とのふれ合い」がいくつもあった。
ああ、本当にお世話になったんやなあ、と
改めて感謝の気持ちで一杯になった。

一番お世話になったという主任の看護婦さん二人と
STの先生(女性)には化粧ポーチを買いにいった。
男の先生達には靴下を買った。
婦長さんには「お花券」というのを用意した。
「これでお花を買って、病棟の廊下にでも飾って下さい。」
「患者さん達の心が少しでも和む様に。」

すべてカツの意向だった。

婦長さんは
「本当は、こういう物は受け取れない規則なんですけどね、
おふたりの場合は特別です。有り難くちょうだいします。」
と微笑んで下さった。

時は3月の中頃。
ちょうど病棟では「春をテーマにした作品」を募集していた。
(季節ごとにこういう催しものがあった。)
「ご家族の方の作品も可」とあったので私はひとつ俳句を作った。
そしてそれは、達筆な書道文字に書き換えられて
ふたりの共同作品として病棟の廊下にはり出された。


冬の日々

死の淵よりも這い上がり

生命(いのち)の力

春はこれから


それは、これから始まる新しい「自宅での生活」に対する
決意表明でもあった。

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